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【税務署に聞いた】海外の仮想通貨取引所を法人運用する際の「名義」の問題。

仮想通貨の税率

ビットコインを海外取引所で法人扱いとする際の注意点について税務署で確認してきました。

例えば、ビットメックスではKYC(登記簿の提出等)や、口座開設時に「法人名」を入力する欄がありません。

氏名の欄に無理やり法人名を入力しても登録は可能かと思いますが、税務署に確認したところ「大切なのは名義では無い」と釘をさされましたので共有しておきます。

問題点(税率)

日本国の場合、仮想通貨(暗号資産)の税率が個人と法人で大きな差があります。

  1. 個人の場合:最高55%
  2. 法人の場合:最高約34%

※下記に住民税10%を加算して計算しています(細かい控除等は省略)

仮想通貨の税率

さらに、法人扱いの場合ファンドによる利益繰り越しスキームや経費計上によって利益を圧縮することができます。

法人の方が個人に比べて圧倒的に有利な税制となっています。

もし後日、税務調査で法人扱いを否認されたらどうでしょうか?

個人扱いの税率で再計算されると、過小申告となり本来の納付の他、加算税(最大15%程度)を支払う事になります。

大前提の「法人口座となる要件」については良く確認しておくことが必要と考え税務署に相談しました。

法人扱いとする為の要件

税務署に確認した「名義」の問題ですが、「法人名義」で開設したか否かは大きな問題では無いという事でした(国内取引所の様に法人口座の用意がある取引所については法人名義での開設が原則必要)。

法人扱いとするか否かは、「実質的支配者」が誰か、「入出金先の口座が法人等で資金の流れから当該法人のモノである推定が容易である(明確に管理されている)」等で個別具体的に判断するという事です。

税務署の回答:実質的支配者

「実質的支配者」とは、「代表取締役」などの会社の代表者の事です(株式を公開している場合や社団法人の場合には少し複雑なので省略します)。

CryptoGTBitmexでは、法人名義で登録する欄とKYC(登記簿の提出)が無い為、社長名義(代表者たる自然人の名義)で登録する事は「実質的支配者」の推定が容易なので許容できる(外形的客観的に明白)。

との事です。

税務署の回答:管理について

「実質的支配者の推定」の問題をクリアした場合でも、「どこから入金されたモノか」等は明確にするべきです。
例えば、国内取引所の仮想通貨法人口座からビットメックス(法人扱いとしたい代表名義の口座)へ仮想通貨を送金(入金)した場合、当該法人の資金であると推定することが容易い。

一方で、個人扱い(雑所得)の口座から送金した場合には明確に区別できないので入出金の目録をつける等の管理が必要である。しかし、外形的に推定が容易では無い為、管理の方法については税理士と良く打ち合わせをしたり管轄の税務署へ個別具体的に相談して擦り合わせをしてほしい。明確に法人扱いとする方法については規定が無い。

注意点

特に担当官の方が念を押していたのが

税務調査の方法や否認の基準は管轄や担当によって変わります。「個別具体的」に決定される事で「一律の決まり」として提示することは出来ない。

という点です。

ただ、相談してみて判ったのですが「コチラの伝え方」が大切と感じました。
伝え方によっては違う答えも当然帰ってくると思います。

2回に相談日もわけましたし、かなり伝えるのに手間取りました。

私の本業が「法律と税務等の士業」ですので、相談もスムーズにいった方だとは思います。

自然人名義(代表取締役)で登録しても問題ないであろうという論点は、私の方で予め整理していき「提案」の様な感じで話しそれに対して承認していただいた様な感覚です。

税務処理に「絶対」は無いので、必ず税務署に個別相談をする事をお勧めいたします。

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