「低いレバレッジの方が安全」と決めつけてしまうのは危険です。
レバレッジは証拠金の維持率やポジション保持時間によって変えるべきと考えます。大切なのはリスク管理です。追証についても解説していきます。
レバレッジについて
FXでは、取引所に一定額預けることで、元手の何十倍もの金額で取引が可能となります。
一般的に「レバレッジ〇倍」と表現されています。
下記の図では、「レバレッジ100倍」「28060円の元手(証拠金)」で「4枚のビットコイン(400万円分)」の買いを入れた内容です。
この様に、少ない元手でも大きなポジションを持てるのが特徴です。

追証について
FX取引をする上で追証(おいしょう)のリスクについて理解をする事は必要です。
日本のFX取引所の多くは「追証あり」となっていますので事前に確認しておきましょう。
追証(おいしょう)とは、追加保証金の事で、証拠金を追加で差し入れる必要がある状態のことです。
下の図で「追証となるケース」について解説いたします。

買い建玉の400万円のポジションの内、証拠金が120万円で証拠金率は約30%(120万円÷400万円×100)から開始したとします。
その後、60万円値下がりしたとします。
値下がり分が証拠金から差し引かれるので、証拠金の評価額は60万円(120万円-60万円)になります。
このときの維持率は約15%(60万円÷400万円×100)となり、追証発生ラインの25%を下回ったので追証が発生するという事になります。
(※別途手数料等が必要)
追証発生ライン25%は100万円(400万円×25%)ですから、期限までに差額の40万円を追加で入金しなければ現在のポジションは強制決済(ロスカット)されてしまいます。
以上の事から急な値動きが発生しやすいビットコインFXの取引においては、「追証なし」の取引所の使用を推奨しています。
追証ありの取引所 | bitFlyer(ビットフライヤー)やCoincheck(コインチェック)等 |
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追証なしの取引所 |
CryptoGT(クリプトジーティー) Bitmex(ビットメックス) Zaif(ザイフ) |
【保存版】倍率別一覧
下記は、1BTC(ビットコイン1枚)が100万円の時に4枚(4BTC)買いを入れたい時のレバレッジ別一覧です。
証拠金が幾ら必要で、ロスカットライン(強制決済ライン)が幾らなのかに注目して見てください。

上記の図を耐えられる値幅(ロスカ値幅)に直したモノを掲載しておきます。
レバレッジ:2.5倍 | 証拠金:1,122,400円・(ロスカ値幅:196,420円) |
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レバレッジ:5倍 | 証拠金:901,765円・(ロスカ値幅:98,235円) |
レバレッジ:10倍 | 証拠金:280,560円・(ロスカ値幅:49,095円) |
レバレッジ:15倍 | 証拠金:187,120円・(ロスカ値幅:32,745円) |
レバレッジ:25倍 | 証拠金:112,240円・(ロスカ値幅:19,640円) |
レバレッジ:100倍 | 証拠金:28,060円・(ロスカ値幅:4,910円) |
実際に取引をする際、「ターゲット(利確ライン)がどこか?反対ポジションに動いた時に幾らまでなら損を被れるのか?(損切ライン)」を決めておく事が重要です。
この最も重要な作業をしない方が何故か初心者には多いのです。
例えば、スキャルピング(短期売買)をしているとします。買いを入れた価格よりも5000円下落してしまったのに損切をしないでポジションを持っているのは推奨できません(トレンドが変わってしまっている)。
反対に3ヵ月間保有するのに5000円の値幅が動いたくらいでポジションを解消していたのではキリがありません。
急激な値幅の危険事例
下記の図は実際にあったビットコインチャートです。
(2018年2月22日のZaif取引所のチャート:バグで無いという前提で進めます)

107万から57万円まで数十分で「50万円幅」も暴落しています。
この様な下落時はサーバーが停止して注文を受け付けて貰えない事が多く(サーバーが落ちる事もある)、気が付いた時に成り行きで損切注文を入れても遅いです。
予めストップ指値注文を入れていたのに機能しない事も実際ありました。
反対板が無いと決済されないので急激な値動きの場合板が滑る事があります(損切注文より1万円も誤差があった事も実際あります)。
では低レバレッジの場合、と高レバレッジの場合に当てはめてみます。
低レバレッジ:「2.5倍」の場合
例えば、レバレッジ「2.5倍」の場合、4BTCの買いを入れるのに、「証拠金:1,122,400円」が必要で、1BTCあたり100万円で買った後、196,420円下落すると強制決済(ロスカット)されます。
つまり「証拠金:1,122,400円」を失います。
高レバレッジ:「100倍」の場合
レバレッジ「100倍」の場合、4BTCの買いを入れるのに、「証拠金:28,060円」が必要で、1BTCあたり100万円で買った後、4,910円下落すると強制決済(ロスカット)されます。
つまり「証拠金:28,060円」を失います。
滅多に無い危険な事例を取り上げましたが、最大級の危険を理解し予め回避しておく事は大切です。
レバレッジ「100倍」の損失は、「28,060円」なのに対してレバレッジ「2.5倍」の損失は「1,122,400円」となります。
値動きが激しい場合には、ストップ注文の代わりに高レバレッジにしておくというテクニックは実際使えます。
その他、板が存在しない販売所形式の取引所を使う手もあります。
(販売所とのやり取りなので反対板が無くても原則、即約定する)
クリプトGTは板の無い販売所形式なので、約定が早いです。
スキャルピング(短期売買)の事例
下記は、2018年9月2日のビットコインチャートです(Zaif)。
スキャルピング(短期売買)をするつもりで見てみてください。

4:45分に高値を更新したのにも関わらず、MACD(下にある線と棒のグラフ)の値は下がっています。
これは「ダイバージェンス」といってトレンドが弱まっているのサインです。
「80万7951円」と「80万9200円」で上髭をつけて下落しています。
この後、セオリー通りMACDのデッドクロス(黄色の線上のクロス)で新規売りポジション(ショート)を入れたとしましょう。
80万3000円付近でショートを入れたとして、損切は幾らまで見るべきでしょうか?
個人差はあると思いますが、
- スキャルピング(短期売買)で決着
- ダイバージェンス発生で上昇トレンドは終わった
- 重力は下に向かっている
というつもりでエントリーしていますので、広く見積もっても直近高値のローソク足の実体である「80万6000円」までです(私だったら)。
80万6000円まで戻した場合、MACDもデッドクロスせず、ダイバージェンスも解消されるストーリーが考えられます。
そうなれば、エントリーした根拠が否定されますから潔く損を切るべきです。
つまり、この事例に限って言えば「3000円」程度の値幅に耐えたれば良いので、100倍の値幅(4,910円)で十分です。
万が一この時、テクニカルを無視するほどの好ファンダ(皆が一気に買いたくなる様なニュース等)が出て異常な買いが入り急激に跳ねた場合、ロスカットされる事となりますが高レバレッジの場合被害は最小限に抑えられます。
まとめ
以上の様に、レバレッジは取引スタイルによって変えるべきと考えます。
「単に高レバレッジが安全」と主張したい訳ではありません。
資金力が無く、維持率に余裕を出せない場合には短期売買(スキャルピング)から練習して細かい損切を練習する所から入るのを推奨します。
私自身、レバレッジを低くしていた為に大きな下落に巻き込まれ200万円ロスカットされた経験があります。
その時はサーバーが落ちてしまい、損切注文が通らず見ている事しかできませんでした。
特に仮想通貨は急激な値動きが発生する事も多々あります。
この機会に是非リスク管理について立ち止まって考えて見てください。
追記:ノックアウトオプションについて
上記で触れたロスカットによる損失の原因は「サーバーが止まってしまって注文が入れられなかった事」が原因でした。
かなり辛い経験となりましたので二度とあの様な体験はしたくありません。特に自分の腕では無く、取引所側の要因となると非常にやり切れない気持ちでした。
そこで、この様なりスクを避ける為に色々と探した所「ストップ保障」がある取引所を見つけたのでご紹介させていただきます。
「IG証券」が提供している「ノックアウトオプション」というサービスです。
注文を入れた時に予め「ノックアウトライン(FXでいうストップ注文のライン)」を決め、そのラインでの決済は保証されます。
仮にサーバーが重くなってしまって注文が通らない状況になったとしても、予め決められたラインでの清算が保証される訳です。
税率も分離課税で「約20%」と少なく、仮想通貨の雑所得最大55%に比べて非常に有利です。
詳しくは以下の記事をご確認してみてください。