ADXの使い方についてと、使える手法を紹介します。
テクニカル指標に慣れてきたら、種類の違うオシレーターを組み合わせて表示してみましょう。ADXはほとんどのオシレーターと相性が良く、他のオシレーター指標の信頼度を上げてくれる素晴らしい指標です。「ADX併用でオシレーターの潜在能力を解放!!」
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ADXとは?
トレンドの総合的な強さを可視化したテクニカル指標です。
ADX(AverageDirectionalMovementIndex)は、平均方向性指数の事で「買い」と「売り」の強さを表しています。
トレンドの終わりを確認して売買サインとして利用することが出来ます。
ADXの見方
ADXには、3種類の線(ADX線と+DIと-DI)で表示されます。
役割は以下の通りです。
BitMEXやビットバンクでは「DMI」を選択してください。
線の種類
- +DI:「買い」の強弱
- -DI:「売り」の強弱
- ADX線:総合的な強弱(+DIと-DIの乖離)
3種類の線は好みの色に変更できます。私はADXをオレンジ、+DIを青、-DIを赤に設定しています。
下記はMT4・MT5での設定画面です。

数値の見方
数値の見方には諸説あります。一般的なテクニカル初心者本では、「ADX線が40より高い場合、強いトレンドで20以下は弱いトレンド」と説明しています。
しかし、その時の+DIや-DIの値や期間などに触れてはおらず検証の結果等が示されていません。
使い方にもよるのでしょうが、どうもしっくり来なかったので私なりに定義を直してみました。
せっかく私のブログをご参照いただけるのですから、オリジナルの設定を紹介します。
- 期間:13
- 「+DIか-DI」と「ADX線」が34以上:強いトレンド
- 20:トレンドが発生していない
とします。では、この設定で実際のチャートを見ていきます。
ビットコインのチャート(MT5で表示)

左から、黒い線でADXの値は「20」です。この時、トレンドは発生していません。
直前に「-DI(赤)」が頭打ちとなり「20」に向かっています。
つまり、売り勢力が伸びなかったという事です。
なお、黒線は60日移動平均線です。
この線より上で、売りが伸びず「20」へ戻ってきた事から、「次は買い勢力が優勢か?」と見ることができます。
黒線上で、「-DI(赤)」と「+DI(青)」がクロスでして、同時に「ADX線(オレンジ)」も上昇しています。
「+DI」と「ADX線」が34以上の地点(青線上で、青丸で2つ囲っている所)で、強いトレンドが発生しています。
価格もピークを迎えています。
この後、「ADX線(オレンジ)」の値が「70」まで上昇し、「+DI(青)」の値が「34」を割り込みました。
つまり、全体のトレンドを示すADXがピークに達しているのに、買いの勢いが伸びてこないという事です。
この時点で、一旦上昇トレンドの終わりを予想できます。
その後、価格を下げつつ「-DI(赤)」と「+DI(青)」が再びクロスして「-DI(赤)」が優勢になります。
しかし、「-DI(赤)」の値が「34」を超えたものの、「ADX線」が「34」を超えません。
つまり、強いトレンド発生の要件を満たしていません。この売り圧は「ダマし」であると判断できます。
この様な流れで見ていきます。
しかしながら、上記はわかり易い箇所を切り取って説明しております。
実戦では、他の指標と併せて使っていく必要があります。
MACDとADXの手法
MACDとADXを併用した手法を紹介します。
MACDは、トレンド発生時に良好に機能する傾向が強い為、トレンドの強さが可視化されているADXと相性が良いです。
MACDの使い方が判らない場合は下記をご参照ください。
なお、MT5とTradingView系の取引所では表示が異なります。MT5の場合には「ヒストグラム=OSMA」となりますのでご注意ください。
MACDの弱点は、クロス等のサインが遅かったり、トレンドの終わりを判断するのが難しいという弱点があります。
せっかくエントリーの方向が合っていても値幅がとれないと勿体ないですよね!
そこで、ADXを表示してトレンドの終わりを判断する訳です。
では早速見ていきましょう。
下記は2時間足のビットコインチャートです。
※MACDが上下に分かれていますが、MT4/MT5ではヒストグラム(OsMA)を別に表示する必要があります。
※BitMEXなど取引所に組み込まれている物は一体化していてデザインが違いますが意味は同じです。
MACDとADXを併用した図

解説
上位時間足のトレンド方向にエントリーします。
ここでは、日足が下降トレンド。図が2時間足なのでショート(売り)です。
OsMA(ヒストグラム)とMACD線が同じ方向を向いている(ピンクの矢印)
左から順に見ていきます。
オシレーターのサインを複数利用する事で、より優位性の高いトレードが可能となる。
- MACDのヒストグラム(OsMA:一番下)が「0ライン」とデッドクロス。
- 続いてMACD線(中段)がシグナル線(赤)とデッドクロス。
- 同時にADXの+Dと-Dでデッドクロス。
- さらに、MACD線「0ライン」とデッドクロス。
この時点で、価格チャートに表示されている60日移動平均線(黒線)を下抜き、下降が始まりました。
ここで問題なのが「どこで止まるか」です。
そこでADXを見ます。
「-DI」と「ADX線」が34以上
を満たした時点(黒線の青丸)で、強い下降トレンドサインが出ています。
その後、「-D」は折り返すが、ADX線(オレンジ)はまだ上昇を続けています。
これは、下降トレンドの終わりを示すサインです。
その後、MACDがゴールデンクロスして再上昇しています。
まとめ
以上に様に、ADXは他のオシレーターの精度を高めてくれる(先行して知らせてくれる)効果があります。
トレードは如何に優位性を高く出来るかが重要です。
予めシナリオを描き、自分の考えと違う動きをしたら損切する等「機械的」に判断することで優位性のあるトレードとなります。
そこに感情はいりません。
オシレーターは、「欲」や「不安」を解消してくれる便利なツールだと思います。
ADXは、他にもRSIやストキャスティクスとの相性も良いかと思いますので、普段使用しているオシレーターに加えて試してみてください。